top of page

手紙

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 13 時間前
  • 読了時間: 3分

風呂上がり

 

寝間着を羽織り、粗茶で喉を潤しながらタブレット端末を立ち上げる。

メールソフトを起動させると、サーバーに貯まり続けた数万単位のメールが

一気に雪崩のように送信されてくる。

 

毎日、日を跨ぐ前に処理しているにも関わらず・・・・

 

湯呑をふうふうと覚まし、ちびちびと飲みながら

届いたメールの海をスクロールさせ、あるものを探す・・・・

 

(・・・今日も来てない・・・か・・・・)

 

念のため、ショルダーに入れっぱなしにしてあるスマホを取り出して

サーチエンジンを起動させる。SNSを検索し、特定のアカウントを呼び出す

 

まずは自身のエゴサーチ。

アンチと思われる輩の批判的な内容

一般的な肌感覚

 

意外と思われるかもしれないが、そこから目を背けることはしない

それこそが、現状の立ち位置に満足せず、進化し続ける姿勢を保持させる為の

苦い薬なのだ


それを一通り終えると、あいつらの呟きを見に行く

 

ネタバレの範疇を破らずに、明朗快活に楽しさを伝える内容のもの

見えた景色を絵草子にして立体的に飾り立てる奴

・・・いつも思うが、よく我々の特徴を掴んでいるよな・・・

 

一通り、眺めている間に、現状、奴らの間で起きている

きな臭いムード、小さな問題、見過ごさない方が良い課題

それらを正確に把握する

 

(やれやれ・・・これはもう一度、渇を入れる必要があるな)

 

ため息をつきながら、メモを記していく

 

そして最後に、あいつのアカウントを呼び出してみる

 

動いてはいる。

何かしら、我々に関するニュース記事や、他のメンバー、関係者などが

呟いた内容を、ただシェアさせているだけ・・・



こいつ自身の呟きが途絶えてから・・・やはり一か月近くになる

 

タブレットに戻り、メールフォルダーを立ち上げる

最後にあいつから届いた日付を確認しながら、メールを開く

 

・・・それまでは、文末に必ず、ある語句があった

「次は、〇〇に行きます!」

 

それは、我々の活動内容と同じだった

 

だが、最後に届いたメールには、その語句がなかった

 

ミサはまだ、前半を過ぎた辺りだ。

もう、お前は来ないのか・・・・?

 

その時、スマホの通知機能が反応する

 

(・・・なるほど。理由があって、この一か月はミサに来られなかったんだな。

だからか・・・)




「行けませんでした」という内容は不愉快だ

「魂を飛ばします」それも、あいつなりの愛情表現だと分かっているが

残念に思ってしまう

 

それを口うるさく伝えている吾輩自身の気持ちを汲み取って

ミサに来れない間は「便りを出さない」「不要不急の呟きはしない」と

決めているんだろう

 

分かるんだけどな・・・

こいつだけは、ダメだ。

どんな内容でも良いから、こいつからの便り、こいつの言葉は欲しくなる

 

だからこそ、名前と顔が一致するように、暗号まで伝えて

ようやく、「そんな気がする」というニュアンスから

気のせいではなく、確信を持って、あいつのまなざしを受け止められる

ようやく、ここまで辿り着いたんだ

 

だから早く、戻って来いよ。

そしてまた、いつものように送り付けてこい。

いつものように、明るく叫べ。吾輩の名をな・・・・♪



🌷Fin.🌷


コメント


丸太小屋の階段を降りると辿り着く桜の木
bottom of page