真相
- RICOH RICOH
- 2024年12月2日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年12月9日
BARの外にCLOSEDと立て看板を出し、
そのまま扉とは逆方向に進んで行くマスター
ゆるやかな坂を登り、高架下にたどり着く
行き止まりとなっている塀に向かい
周囲に気を配りながら、そっと手を翳す
一瞬、眩い光が射しこんだ
反射的に目を瞑り、再びまぶたを開ける
するとそこは、柔らかな草木に囲まれた穏やかな空間
「………」
とりあえず、目の前にある扉を開けると、
見知った顔が振り向き、笑顔で出迎えた
「ご苦労だったな。ミカエル」
「ミカエル様、お帰りなさいませ」
丸太椅子に優雅に腰かけ、お茶を飲んでいるイザマーレと
その隣で、にこにこと微笑んでいるリリエル
イザマーレの持ち込んだ脚本を元に
執筆原稿を書いている里好も立ち上がり
ミカエル用にお茶を用意する
「…これで良かったのか?」
ため息がちに、イザマーレの隣に腰かけるミカエル
「ダイヤ様が過去の自分を見に行きたいっていうから
タイムトラベルしたのは良いけど、固まっちゃって…💦
駄々っ子を懲らしめる鏡の魔法が、今回は強く効き過ぎちゃったのよね」
すまなそうな表情を浮かべるリリエルの髪を撫でながら
イザマーレもほくそ笑む
「過去のAnyeたちも、タイミング悪くというか、
生き血祭りを避ける為に人間界へワープしたばかりで
それなら、まあ…仕方ないよな
本家本元の我々が、何とかしてやろうかと思ってな(笑)」
北の商店街に行った後、
イザマーレはウエスターレンとリリエルを連れて
この丸太小屋を訪れていた
「だが当然、過去の時代に里好はいない(笑)
それで仕方なく、吾輩が脚本を書く事にしたんだ」
「(*´艸`*)…でもそしたら、やっぱり凄く素敵な物語なんだもの…
それで急遽、里好にも来てもらって、お願いしたの♪」
嬉しそうに微笑むリリエルに、里好は苦笑い
「確かにあの時、閣下が“Lilyの輪廻にまつわる
無限大の可能性“について考えてらっしゃるのは気づいていましたから
そのうち、こんな事もあるかなって思ってましたが…(^-^;」
「…なんでも良いけどよ。お前らの役に立てたなら光栄だ。
でもさ…ひとつだけ気になって。イザマーレ。あの2人って
もしや、お前の夢台本か?」
目を細めてイザマーレを窺うミカエル
「ん?…亮と咲音か?そうだな…
リリエルが人間に生まれ変わる前に考えたものではないけどな。
今、改めて、こういうケースもあったんじゃないかな…
それも良かったかもな…そんな吾輩自身の理想が
自然と投影されたかもしれないな♪」
キョトンとしているリリエルの髪を撫でて、優しく微笑む副大魔王…
過去と未来における不思議な旅物語は、一旦終了。
次は再び魔界に舞台が移ります。
お楽しみに♪♪
🌷seventy seasons Fin.🌷



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