Ⅰ 野外音楽堂
- RICOH RICOH
- 2024年12月24日
- 読了時間: 3分
会場の隣にある広場に止まっているキッチンカー
大釜から炊き上がった白飯のいい香りがする
ひとつずつ、丁寧に握られていく
今日は、いつもよりも更に小ぶりで
梅、鮭、たらこ、唐揚げ、玉子焼きが可愛らしくトッピングされた
ひと口サイズの特製おにぎりセットだ。
その横で大量のコロッケを揚げていく響子
衣がサクサク、じゃがいもと牛肉を絶妙なバランスで混ぜ合わせた
自慢の味だ
「…こういう所では、何故か無性に食べたくなるんよ
咲音ちゃんのおにぎりと、相性抜群🎶
あんちゃん達も、喜んでくれるといいな」
キッチンカーの前は、いくつかのテーブルと椅子が置かれ
その場でゆっくり食べることも出来るし、テイクアウトも可能だ
紙パックに丁寧に詰め合わせながら、会場に無数に飾られた
ポスターを眺め、咲音は嬉しそうに微笑む
プログラム
魔界貴族(亮の率いるバンド)
Vo 亮
Gt 一樹
Gt 拓海
Gt 碧生
Bass 静哉
Drm 泉吹
KITS
一樹、拓海、静哉のセッション
赤青
碧生 一樹のコントライブ
リズムセクション
泉吹 静哉のリズム講座
極秘ゲスト
倉橋と光、イザマーレが融合した三位一体ライブ
「亮さんに、一樹さんや碧生さんたちのセッションまであるなんて♪
…最後の三位一体ライブってなんだろ??ワクワクするね(*´艸`*)」
開場時間は正午。今はまだ、客足もまばらだが
場内から漏れ聞こえるリハーサルの音に、自然と興奮させられる
「…すみません、特製おにぎりセットとコロッケ、お願いできますか」
呼びかけられた女性の声に、咲音は笑顔を浮かべる
「あっ は~い。百花さん、お疲れ様です。いくつかしら?」
「えっと…亮さんのぶんを頼まれたの。光さんたちは、後から
買いに来るそうです。」
「了解です♪…倉橋さんのぶんは?いいのかしら?」
てきぱきと手元を動かしながら、確認する
「あ、はい…亮さんのバンドが終わったら、今日はオフでいいと
言われていて…勇さんとはその後、こっそり来ます(*´艸`*)」
少し恥ずかしそうに、小声になる百花が微笑ましくて
にっこり頷く咲音
「そういうことね♪…一樹さんたちはいいのかなあ」
ほんの少し、首を傾げる咲音に、小悪魔な表情を浮かべ
彼らのメッセージをそのまま伝える百花
「後で、楽屋まで届けてほしい、との事です」
「…!…あ…//////」
「良かったなあ、咲音ちゃん。今日は、楽しんでおいで♪」
衆人環視の中、怪しまれずに彼らの元に行ける
そのための手段だと気がついて、真っ赤になる咲音に
響子がドーンと背中を押す
「…き、響子さんも…一緒に行こうよ…💦」
さすがに怖気づいて、二の足を踏む咲音
「クス…咲音ちゃん、良かったら、私と一緒に行きましょ♪
一人で歩かせるのは危なっかしいって、亮さんから
聞いてるわ(´∀`*)ウフフ」
「そうや。咲音ちゃん。ここは百花さんの言う通りにせいや。
私は店があるし、ここで待っとるよ」
「…でも、響子さんひとりじゃ大変でしょ?」
百花と響子に促されるが、咲音はまだ躊躇する
その時
「大丈夫よ」
「!…えっ」
いつの間にか、百花の隣に立っていた、もう一人の女性の声に
振り返り、驚く
「凛子ちゃん、ありがとな♪こんなこともあろうかと、頼んでおいたんよ♪」
蘭パンダの宅配便でいつも食堂に配達してくれる凛子が
さわやかな笑顔で立っていた
「今日、泉吹さんを見たくてチケット取ったの。咲音さんの居ない間は
私がお手伝いするから、行っておいでよ」
「………」
ぽか~んとしている咲音の横で、
サクサクとランチセットを袋詰めしていく響子
「はい!一丁上がり♪ほら、早く持って行きな。咲音ちゃん
拓海さんにもよろしく言っといてね♪♪」
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