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  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2月17日
  • 読了時間: 3分

副大魔王妃リリエルの人間界における思い出の土地




副大魔王と情報局長官。現代の魔界ツートップさえも


瞬く間に魅了され、今では魔界のとある場所と繋がれ


彼らの別荘地として有名になった、あの場所




あの湖の名前は、女神湖




特に、ウエスターレンが強烈なインスピレーションを感じて


もし仮に、今の職を解かれたならば、必ずやこの地に向かい


終の棲家としようと、心の隅に思い描くほどだった




今も時折、人間界でライブを終えると、1魔で立ち寄る




陽の光が反射し、穏やかで美しい湖面


木陰のベンチに腰掛け、紫煙を燻らせる




かつてあいつ―イザマーレ―が、俺を求めて流し続けた涙


その涙に共鳴した自然の雄大な力が、こんなにも幻想的な世界を生み出し


この地を訪れる恋人たちを祝福し、これまでの労をねぎらい、癒しを与えている




まさに光と花による奇蹟の場所…




ウエスターレンにとっても、間違いなくお気に入りの地であると同時に


一時でもイザマーレから目を逸らした自らの罪を戒める


あらゆる意味で、大切な空間であった




(…そう、思っていたんだが…)




実際、この地に訪れるたび、大魔王ダンケルさえも


己の柵を解き放ち、心の底から癒されている様子だ




(なるほど、数万年前か…)




マーキュリー大魔王




かつて、魔界の歴史において輝かしい功績をあげた事で


中央に在職する貴族魔ならば誰もが、その名を知る


有名な2悪魔、マーリとキーユ




姿かたちは消え、概念となり森羅万象に宿る魂となった時


彼らはひとつに融合し、その名を歴史に刻ませた




それがマーキュリー大魔王という名だ




今、ウエスターレンの眼前に広がるのは


かつて、マーリが流した涙で創造した湖


湖面に輝く陽の光は、美しい天の輪を抱く


彼らを心の底から愛した、あの女神のような…




この地を護り続けたのは、キーユに違いない




マーリがキーユを思い、流した涙を、その痛みを


決して忘れる事なく………




むしろ、心の深淵で繫がるようなエクスタシーに酔いしれながら


やがて、この空間の景色と一体化され、姿を消す瞬間まで…




マーキュリー大魔王の功績




それは、命の終着駅であり再生の核となる


魂の花園を、悪魔の守護地とした事だ




それにより、幾度もその地を訪れたリリエルを


イザマーレの元に取り戻す事を可能にした




だがひょっとすると、すべての事の始まりは


やはり、アイツだったのかもしれない





何の躊躇いもなく浄化させ


魂に付着した穢さえも取り除くような


大それたマネをしたのは


後にも先にも、イザマーレだけだ




どちらが過去で、どちらの未来に作用したのか




今となっては知る由もない




ただ有難いことに、俺は消滅することも無く


今ここに存在する事を赦されている




消えた存在、キーユの意思は


大魔王の元で奔走する副大魔王の護衛


その役割を火を操る最高魔の魂に楔として刷り込まれている


その禁忌に抵触した場合、自らの内なるチカラ


ゲヘナの炎により焼失するだろう




だが、何処のどいつか知らない野郎に


刷り込まれた楔など関係なく


俺は俺自身の意思で、アイツらを守り抜く




ゲヘナの炎などに支配されるまでもない




そんな俺の強固な意思を知りながら


過度に心配し、そんなものに縛られない


誠の愛のみを欲しがる、欲張り王子、いや


俺の前では欲張り姫…だな…♪



🌷天の輪 Fin.🌷



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