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事の経緯

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2月17日
  • 読了時間: 4分

そして、その時、一時的に覚醒させた最高魔たちに判断を委ねるための


サミットが開催された。サミットで決議されたルールに則り、降臨した地で


成果をあげるマーリとキーユ




天界の神々にとって、邪魔な存在の2悪魔、


マーリとキーユの鉄壁の絆に亀裂を生む為、大小様々な根も葉もない噂を


真実であるかのように流布させ、大衆を攪乱させる




彼の地に暮らし始めた人間が、悪魔に対し抱く不信感を


払拭するため、奔走するキーユは次第に疲弊していくが


並大抵ではない精神でどうにか乗り切っていた




リードを許し、焦る天界が業を煮やし


世紀に残るほどの大犯罪を企てた




政治的な事柄には無関心と言いながら、ゼウスを凌駕するほどの


人気で真の愛を説く女神ユナを無実の罪に拘束し、


毒薬を飲ませ、気を失った彼女を捨て駒として操り


彼の地に向かわせた




ユナが目覚めると、一糸纏っていない裸体で


その場に居た大勢の男衆に取り囲まれていた


まず手始めに、天使たちが人間の身体に入り込み、ユナを凌辱する


すると、周りで固唾を飲んでいた他の人間たちもタガが外れ


「悪魔祓いだ」と唱えながら次々に襲い始める




必死に抗い、抵抗していたユナだったが


そこに現れたキーユの姿に驚いて目を瞠る




愛や希望といった言葉とは裏腹に、欺瞞に満ちた天界において


漠然とした違和感の中、ユナの唯一の気晴らしは、地上で愛と調和の旋律を奏でる


マーリとキーユの営みを眺める事だった。特にマーリに対しては


恋心を自覚するほどだった




その片割れ、キーユの前に、あられもない姿を晒すことになったユナは


気が動転し、涙を流してしまったのだ




女神ユナの涙には、人々の理性を奪い、心を操る作用があり


その場にいた者たちの怒りの矛先が、すべてキーユに向かってしまう…




半端な天使などに容易く敗北する筈のないキーユが


その魔力を使い果たすほどの残虐な行為の餌食になってしまった




女神ユナの底知れない力に怯えたゼウスは


彼女を再び天界に連れ帰り、クリスタルの小部屋に幽閉した




壁一面に飾られた鏡に、地上の世界を映し出すユナ


人間になってしまったキーユを想う、マーリの無償の愛と孤高の涙に


ユナは怒り狂い、自身の象徴とも言える天の輪を鏡に投げつけ叩き割ると


亀裂が生じた時空を彷徨いながら、走り出す


大悪魔マーリの涙を拭い、その心を慰める為に…




女神ユナが堕天し、天界に残された、天の輪




歳月が過ぎ、花園クリスタルで自身の由来に気づいたユナが


どうしても確かめたかったのは、「天の輪」の行方だった


「天の輪」を取り返し、マーリとキーユに献上すれば


もう二度と天界からの横やりが入らず、誠の愛と平和に満ちた世界が構築できる筈…




だが…




マーリと涙の別離をしたすぐ後、魂が消滅するまでの僅かな時間に


天界に訪れ、在り処を探すが見つけられなかった




女神ユナに切り離され、投げつけられた瞬間


「天の輪」は自身の格を持ち、己の意思により動き始めていたのだ





女神ユナを過保護に慕うあまり、彼女から最も忌み嫌われ


赦されない罪を永遠に抱える事になった天の輪




赦されない罪とは


マーリを不幸に陥れたという罪の意識


キーユに対し懺悔する意識




天の輪は、女神ユナを超えて生きる事を許されていない


従って、女神ユナ自身が、自身の悔恨から解放されない限り


空回り、選ばれない貧乏くじを引き続ける




姿かたちは似ていても、ユナ本体が転生した魂と


天の輪の転生後の魂は、磁石のマイナス同士のように反目し合う




天の輪には、周囲を巻き込み操る効能がある




核となる存在に対しその意図とは無関係に


周囲の忖度と、度を越した歪んだ世界が築かれる




しかもそれが、天の輪自身がみずから望んだ理想の世界であった場合


その呪縛は力を増すだろう




マーリは果たして、他者にお膳立てされた道を好むだろうか




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