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Ⅴ 楽屋

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2024年12月24日
  • 読了時間: 2分

多くの関係者が行き交う喧騒の中、花に付き添われ個室に向かうと

中に居たのは亮と咲音。


「亮さん、そろそろ時間よ。百花さんと一緒に行きなさい。

咲音さんはこちらにどうぞ。私たちと一緒に観覧しましょう。ね?」


朗らかに微笑みながら、てきぱきと指示を出す花に

さすがの亮も反論できない


「分かった。じゃ、咲音。また後でな」

ポンと髪を撫でて客席に向かう亮に、百花も慌ててついて行く


だがふと、不思議に思う


(私たち「と」…?あの部屋に、誰かもう1人居たかしら…?)




隣のメインルームに控える倉橋


「なあ…例の件はどうなった?百花のこと、どう思う?」


合体した瞬間とは逆になり、今は意識下にいる光が応える

『…彼女自身は何も問題がない。面白い技術を持ってるんだな』


「そうだろ?」

倉橋は嬉しそうに笑みを浮かべる


『…だが、少し気になるオーラを感じるんだ。

彼女の周囲を洗った方が良いかもしれん。

ま、それも含めて、あいつに判断を委ねよう』


その時、空気が振動する


…………………

…………


「……」




黙々とストレッチして手足の塩梅を確認しながら

艶々している髪に座る女に話しかける


「…リリエル、どうだ?久しぶりの吾輩の赤紋様は」


「素敵です💕」


嬉しそうなリリエルの髪を撫で、微笑むイザマーレ


『おいおい…我々に何の挨拶もなしか?』

『イザムちゃん、お帰り。よろしく頼むな』


共に意識下に潜り込んだ光と勇の思念が聞こえ

ニヤッと笑う悪魔


「心外だ。女の話などで盛り上がってるようだから

会話に割り込むのを遠慮しただけだ」


『…リリエル、久しぶりだな。今宵は楽しんでいけ』


「はい💕ありがとうございます、会長さん(*^^*)」


「リリエル、向こうの部屋にAnyeがいる。

一緒に楽しんでこい」


優しく抱きしめ彼女の髪を撫でるイザマーレ

リリエルは嬉しそうに微笑み、部屋を出ていく




「…リリエル様、お手間をおかけしました。

光さんたちは、如何でしたか?」


姿を現したリリエルを花が出迎える。


「花ちゃん、ありがとう♪閣下は相変わらず素敵よ。

咲音さんも、楽しみましょうね(´∀`*)ウフフ」


すでにワクワクしながら、にこにこと微笑むリリエルに見とれていると

一気にガヤガヤと喧騒が戻る


ハッとする咲音の横をすり抜けていく、ツンツン頭の人影


「リリエル様~ここに居たのね。陛下と長官は客席に居るよ」


「そう…私は閣下のサポートもしたいから、ここに居るわ。

ダイヤ様は、真正面からご覧になりたいでしょ?」


「了解~♪ じゃ、また、終演後に♪」


笑顔で手を振った瞬間、消えて行く…



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