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BAR

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2024年12月2日
  • 読了時間: 4分

いつものBAR


食堂で亮と別れ、逃げるように立ち去った後

BARに向かい、曲がり角でふと立ち止まる薔子


(…い、いやいやいや…今はここも気まずいんだった…💦)


でも、他に行くところもないし…💦


そう思いながら、遠目から窺っていると

店先に人影を見つける


「…!…あら!!…花ちゃ~ん♪♪」


光と並んで店内を窺っていた女性が振り向き、微笑み返してくる


「薔子ちゃん!!お疲れ様~♪」


「え、なになに?光さんと仲良くデート?羨ましいわねえ~」


途端に笑顔になって、花に抱きつき、ニヤニヤしながら揶揄う薔子


「うん。久しぶりに薔子ちゃんと話をしたいなって思って。

そしたら光さんも、時間を合わせてくれたの…迷子になるし

酔い潰れるのも心配だからって…(^-^;」


「そうなのね!!まさか私に会いに来てくれるなんて♪キャー(≧∇≦)」


BARの店先ではしゃぎ続ける女性2人…


その合間に、光は店の中に入り、マスターと静かに目配せしていた


「…よお。元気だったか?」

グラスを磨きながら、静かに微笑むミカエル




「ああ…あいつらの噂は、蓮から聞いてる。どうやら本当だったようだな。

魔界の大魔王陛下が人間になりすまし、物見遊山しているというのは…」


わざとらしく仰々しく言いながら、スツールに腰かける光に

グラスを差し出し、ほくそ笑むミカエル


「(笑)…あっちの世界じゃ、雁字搦めでどうにもならなかったからな。

姿や環境をほんの少し変えただけで、ゲームの余興程度に楽しんでやがる。

彼女自身は、自分のルーツなど、全く覚えてないようだけどな」


差し出されたグラスに口をつけ、いまだに店の外で

じゃれ合う花と薔子を窓越しに眺める光


「…花は、何も言ってこないが…あいつのことだ。

恐らく最初から、気づいていたのかもしれないな」


光の呟きに、薄っすらと笑みを浮かべながら

ミカエルは黙ってカクテルを作り始める


ようやくドアが開き、花と薔子が入ってきた


「光さん…お疲れ様です。花ちゃんに聞いたんだけど…

引越されるの…?」


花と並んで座り、カクテルを待つ間、気さくに問いかけてくる薔子


「ああ…事務所兼プライベート用に、だけどな。

セキュリティの事で面倒だと、蓮にも頼み込まれてな…」


「…タワマンの一室を借り上げたのね…亮の奴、また

なんだかんだって難癖つけないかしら…(^-^;」


「大丈夫だろ。何なら、可愛い彼女との交際を認めてやれば良い♪

絶対に受け入れるだろ(笑)」


ニヤッと不敵な笑みを浮かべる光




「いつも、お2人の話題に上る、

亮さんのお相手、咲音さん…でしたっけ?

私も一度は見てみたいなあ…」


ミカエルから手渡されたカクテルを少し口に含み、

鼻歌を紡ぐように呟く花


その声に呼応するかのように、あるメロディが流れ始める


「お…懐かしいな。」


光は微笑みながら立ち上がり、花の前に手を差し出す


「Shall We Dance…?」


「…//////」


元居た世界で体験した、かつての記憶が走馬灯のように溢れ出し

胸をときめかせながら、その瞳には変わらぬ光を宿す花


差し出された手に応え、舞い踊る2名


幻想的な光景にうっとりと酔いしれながら、

グラスを傾けている薔子の横に

いつの間にか、あの男性が座り、優しく見つめていた


薔子は一瞬、顔をひきつらせ、気まずくなるが

すぐに笑顔になってグラスを合わせる


「今夜の素敵なゲストに…乾杯☆彡」


「…その気になれば、お前にもあの夢が手に入るのだ。

どうだ…?ラディア…あ、いや…今は薔子だったな。

もう一度、私の手を取ってくれないか…?」


「…え…へっ…?💦」




半分以上、話の意味がちっとも分からず

曖昧に相槌を打っていた薔子は、素っ頓狂な声を出す


彼女の肩を抱き寄せ、見つめ合う

ブルーの瞳に吸い寄せられるように、目が離せない薔子


「…Shall We Kiss…?」




2組のカップルの雰囲気に、半分呆れながら

店をCLOSEDにして電気を消すミカエル


ふっと、紫煙の香りが漂う


そう思った瞬間、紅蓮と黄金のオーラが物凄い勢いで

飛び去って行く…


「…だから…そういう事しちゃ、駄目でしょ…?

あんた達、人間のふりしてんだからさあ………(苦笑)」


脱力し、諦めがちに吐露するミカエルの耳元に

夢幻月詠の言霊が届けられる


………Shall We ×××?………




 
 
 

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丸太小屋の階段を降りると辿り着く桜の木
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