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  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2024年12月9日
  • 読了時間: 4分

………………

………


重たい瞼を開くと、ぼんやりと映り込む無機質な壁


「…!………っ」


ハッとして、起き上がろうとするが、

身体が変に重く、身動きできない


仕方なく、視線だけを動かし、周囲を確認する


(………)


もう何度目だろう………

薄々、気がついていたが、こんな事にも、もう慣れた

苦笑しながら何故だか悲しくなり、誤魔化すように寝返りを打つ


「…気がついたようだな」


「!……あ…っ…//////」


ベッドサイドから不意に声をかけられ、振り向いた

その時、視界に飛び込んだ姿に目を瞠り、固まる


「…お帰りなさい。貴女は…ダイヤ様の前世。だから…

ラディア様…よね?」


白衣姿のイザマーレの隣で、ラディアにヒーリングを施すリリエルが

優しく微笑んでいた…


「………//////………っ…」




動揺して固まり続けるラディアを、リリエルは優しく抱きしめる


「もう大丈夫。だけどまだ、ゆっくりなさってくださいね」


「//////」

ふんわりとしたリリエルのぬくもりに

ドキッとして真っ赤になりながら、尋ねるラディア


「あ、あの…貴女様は、Anyeとは違う…もしかして、その…」


ラディアの問い掛けに、リリエルはにっこりと微笑む


「こちらでは、初めまして。私はリリエルと申します。

今日は光さんと花ちゃん…あ、いえ、会長さんとAnyeちゃんに頼まれて

職場体験をする事になった閣下と一緒にお邪魔していたの。

そしたら、閣下の講義の最中に、突然気を失われて…」


「ずっと眠っていたんだ。…何か、夢でも見たのか?ラディア」


リリエルの髪を撫でながら、悪戯っ子のように笑うイザマーレ


だが、そんなイザマーレにも反応できず

リリエルを見つめ、涙が止まらないラディア


「…良かった…本当に………ほんとう…に…っ…」


「ラディア様…?」


不思議そうに首を傾げ、キョトンとしているリリエルに

ますます号泣し続けるラディア


見てきた事は、すべてが悪い夢


イザマーレの隣に寄り添うリリエルの姿が、本当に微笑ましく

心の底から嬉しく思うラディアだが…




「リリエル。ダイヤの前世は無事に目覚めたようだな?」


「あ、長官。はい。お待たせしました。閣下、少しだけ

失礼しますね」


「よろしく頼むな♪」


ドア越しに声を掛けるウエスターレンに振り返り

諸々の手続を済ませる為、立ち上がるリリエルの髪を撫で

イザマーレも微笑む


「…すまなかったな。」


「!…え…」


2魔のやり取りを見とれていたラディアは、

イザマーレの声にハッと我に返る


「お前が見たものは、残念ながら夢ではない。

すべて、現実に起きた出来事だ。吾輩がお前を目にするのは

約10万年ぶり…という事だ」


「!!…じ、じゃあ…リリエル様は…!」


驚いて目を瞠り、聞かずにはいられないラディア

だが、目の前に居るイザマーレの深いまなざしに、心を抉られる


「…10万年の時を経て、吾輩の元に返り咲いた。

生涯で唯一の、吾輩の妻だ」


「…!!!!!」


「あの時、発表した大原則の中身を知り、逃げ出したのだな?

そのせいで、お前にも辛い悲劇が起きた。リリエルの前世、Anyeがいる

この時代にお前を向かわせたのは、吾輩だ」




「…//////」


「粗末な舟でも、どうにか辿り着いたのは、

森の精霊たちが糸紡ぎで作り上げた衣が

Anyeの元にお前を導いたのだな」


「…!…リーフさん達が…」


「ああ、そいつらは元々、Anyeの傍に居た者たちだ。フェアリー国だったな。

Anyeの緑のワンピースは、自分の繊維から作られたものだと

よく自慢された(笑)」


「…じゃ、あの…ブランチさん…って…//////」


「お前が落ちた時に燃やしてしまった、あの柿の木の切り株だ。」


「!…そ…そうでしたか…💦」


衝撃の事実が次々と明らかになり、目を白黒させながら

必死に受け止めるラディアを、じっと見ているイザマーレ


「お前が元天使という原罪は、すでに消滅している過去の事だ。

吾輩の前世によって、お前は翼を失ったが、それ以上に強い力で

守られている。」


「…!…」


「そして何より、お前自身が願ったのだろう。

あいつを守ってやりたいと…」


「え…//////」


「…そろそろ、意地を張るのは終わりにしないか?ラディア。

あいつらも、それから陛下も。新たな世界の扉の向こうで

お前をずっと待っている」





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