top of page

Ⅱ フェス会場

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2024年12月24日
  • 読了時間: 3分

魔界貴族のド派手で迫力満点の演出が開演の狼煙を挙げる

ゆるぎない演奏力も相まって、場内はたちまち興奮の坩堝となっている


キッチンカーの内部にこじんまりと設置した小型モニター越しに

亮たちの圧巻のパフォーマンスを眺め、ニコニコとご満悦な咲音


実際には離れた場所に居る亮と咲音から発するオーラが

観客の頭上で交錯し、見事な色合いを見せている

メンバーの様子や、観客のオーラを注意深く嗅ぎ分けながら

花はある事に思いを馳せ、そっと息を吐く


「花…?どうした?なにか、心配事か?」


「あ、いえ…」


目敏く気づいた光は、多くを語ろうとはしない花の髪を撫でる


「一発目のセレモニーとして、まずは成功だな。見事な色合いだ」


「…ええ。この色合いが、この先も濁らず

綺麗なままでいて欲しいのですが…」


その時、2人のいる舞台袖に蓮が姿を現した


「ちょっといいか?百花が倉ちゃん連れて戻って来たから」


「ああ。すぐに行く。」


2人は一緒に楽屋に向かった



「あ、光さん。ただいま戻りました。先生をお連れしましたので…」


「うむ。ご苦労だったな。蓮、あいつらは?部屋に居るのか?」


百花を労いながら、蓮に確認する光


「いや、まだ客席だ。呼んでくるから待ってろ」




そう言って部屋の中に入り扉を閉める蓮

一瞬、怪しい光を放ったと思うと、すぐに扉が開いた


「お待ちどうさん♪」


「亮さん、素敵でしたね~(≧∇≦)」

「やれやれ…佳境だったのになあ」


興奮冷めやらず、まだ踊り出しそうな勢いで

ノリノリのままの女性の横で、やや不満そうな男性がいた


「…え?」


不思議すぎる現象に、目をぱちくりさせている百花の隣で

苦笑する倉橋


「…イザムちゃん。お楽しみのところ、すまないな」


「…イザム…?」


いまだ、首を傾げたままの百花に、

イザムと一緒に現れた女性が微笑みかける


「えっと…倉橋 勇様と、恋人の百花様…ですね?

リリエルと申します。初めまして…」


「…!…じ、じゃあ…貴女が…」


噂に聞いていた名前を耳にして、恐縮してお辞儀する百花に

キョトンとするリリエル




「…お前に勇様って呼ばれるのは馴染まないな(苦笑)。

それに、初めましてではないだろ?」


「えっ…だ、だって…💦」


ニヤッとする倉橋に、俯いて口を尖らせるリリエル


「リリエルにとって、あの時のお前は、吾輩だからな」


リリエルの髪を撫でて、微笑むイザム


「まあ、挨拶はそんなもんでいいだろ。早速、本題に移ろうか」


「そうだな。リリエル、お前はどうする?

Anyeと一緒にステージを見に行くか?」


光に促され、イザムはリリエルを見て問いかける


「そうですね…せっかくなので、ステージをもっと観たいです♪

必要ならお呼びください。すぐに戻りますので」


「…迷子になるんじゃないぞ?お前は瞬間移動はできないんだからな?」


「んもう!!わかってますよぉ!!」


念を押すイザムに、プンスカしながら真っ赤になるリリエル


「…じゃ、私たちはステージに戻りましょうか。

百花さんも一緒に、行きましょ♪」


花が促し、3人(厳密には2魔と1人)は客席に向かう


「…ねえ、そういえば花ちゃんって、瞬間移動はできるの?」


「…どうなんでしょう…試したことがなかったから…」


「やっぱり?会長さんがいつも一緒に居てくださるから…(*´艸`*)

あんまり使わないわよね…(笑)」



すぐ隣で繰り広げられる2名の女性の会話に、多くの疑問符を浮かべたまま

遣り過ごしている百花…




最新記事

すべて表示
Ⅳ 魔界

今日も元気にプエブロドラドの見回りを続けるダイヤ ベンチに座り、耳にイヤホンをしながらタブレットに何やら 打ち込んでいる女性 (…新参さんかな?) あまり見かけない顔立ちだ。 ダイヤは会釈するが、相手は気付いてもいない様子で なんの反応も返さない 信者もいろいろだ...

 
 
 
Ⅲ 楽屋の談合

「さて。では早速、本題に入ろうか。 蓮から少し聞いている。実は先程、入れ違いだったようだな」 「えっ…まさか、ここにも?」 イザムの言葉に、倉橋は驚いた 「あれ、百花に聞かなかったのか?」 「…あ、そうか。だからか…」 蓮に言われ、ようやく腑に落ちて独り言ちる倉橋...

 
 
 
Ⅰ ホテルフロント

野外音楽堂すぐ傍のシティホテル 「すみません…呼び出しをお願いします」 そう言ってメモを見せる百花 「あ、畏まりました。事前に承っております。」 フロントマンはにこやかな笑顔で丁寧にキーカードを差し出してきた。 「エレベーターは右奥になります」 「……」...

 
 
 

コメント


丸太小屋の階段を降りると辿り着く桜の木
bottom of page