Ⅶ 七夜ものがたり♪
- RICOH RICOH
- 2024年12月14日
- 読了時間: 4分
さて…
魔界中の森に存在する厳格な精霊たちは、それだけでは鎮まらない
何しろ、花の権化リリエルの無償の愛が
危うく制御不能になるほどの怒りを顕にしたのだ
そばに居たイザマーレがすぐに鎮め、最悪の事態は免れたものの…
その後の処置については、低級魔に判断を委ねるとした
つまり…ダイヤに対する処遇は、自分たちに一任されたと…
新月の夜の恐ろしい出来事に、ほとほと懲りたダイヤは
暦を学習し、わざわざ新月の夜を避けて、またこっそりと
屋敷の小屋に居座るようになった
迷惑だと言われることのないように、今度は自分でテントまで持ち込んで…
だが、不思議な事に、ダイヤが姿を現した夜は必ず怪奇現象が起こる。
それだけでなく、自然界の怒りが狙い撃ちするかのように
ダイヤの居る小屋をめがけて猛威を振るう
屋根が吹き飛ばされるほどの暴風
息ができないほどの勢いで足元を泥で埋め尽くすゲリラ豪雨
雷ひとつ、おっかなくて我慢できないダイヤは、
「なんなのよ、もう💢💢」
と叫びながら、枕を抱え、布団に潜り込んで震えるのみだ
(だから、お前の家じゃねーんだよ ∞)
しまいには竜巻になり、テントごと根こそぎ飛ばされる
魔宮殿の庭に叩きつけられ、尻もちをつきながら、アワアワと
中に戻って行くダイヤ
邪魔者を排除した屋敷の庭園は、元の静けさを取り戻し
チューリップやひまわり、コスモスなど、リリエルの大好きな花々が
可憐に咲き誇るのだ
屋敷の敷地内では、どうも穏やかに過ごせないと
さすがに察したダイヤは、今度は門の外にテントを出して
「ここなら、迷惑にもならないでしょうよ💢」
と、ゴロンと横になり、耳栓を付けて怖い音を遮断する
………………
珍しく、静かな時間が訪れ、ダイヤはうたた寝をしていた
ふと目覚めると、物凄い近くで、生き物の気配がする
(…またか…💢)
今度は何だ💢💢
いい加減苛立ち、怒鳴りつけてやろうと勢い付けて起き上がる
(だから、何度も言うが、お前の家じゃねーんだよ)
だが、視界に捉えた瞬間、固まるダイヤ
ダイヤのすぐ真横で、鱗をブクブクさせながら、ゲコっとなく生き物…
(ま…ま・しゃ・か………………)
まん丸い目玉をこれでもかと見開き、凝視してくるその表情に
感情は読み取れない
次第に影は一匹ではなく、無数に増殖していく
(ゲコゲコゲコゲコ……♪)
遠慮なく大合唱を始める声に、疑いの余地はない
ダイヤがこの世で最も大嫌いな………………蛙!!!!
屋敷の敷地に棲みつく彼らは、ただの蛙ではない
人間界で、イザマーレを慕う生き物たちの集合体なのだ。
隙あらば敷地の隅っこに入り込み、門に勢ぞろいして
イザマーレの帰宅を待ちわびる
イザマーレが帰宅すると、すぐさま見つかり
指でつままれ捕えらえる。その後、踏まれないようにと
ビニール袋ごと、放り投げられる
そう!!
ダイヤが勝手に出入りしていたあの小屋は、
めげずにイザマーレとの接触を試みる蛙ちゃんたちが
毎度投げ込まれる事で有名な聖地であり
虫や爬虫類が少々苦手なリリエルにも内緒にしている
イザマーレだけが知る秘密の魔法部屋だったのだ
投げ込まれた蛙ちゃんたちは、副大魔王の優しさに大感激♪
一定の期間が過ぎると隙を見計らって、性懲りもなく
大行進をしながら門の前に戻って行くのだ
その通り道を、塞いでしまっていたダイヤ
テントがあるなら、イザマーレが戻ってくるまでの間
暑い陽射しや害魔から身を隠す事だって出来るゲロ♪
だが、大好きなイザマーレの屋敷に、得体の知れない
陳腐なテントが置かれ、ウニ頭が寝転んでいるのは
合点がいかないゲロゲ~ロ♪♪
蛙ちゃんたちは、それぞれ互いにルールを決めており
ぬけがけは禁止だし、イザマーレの迷惑になるような行為はご法度なのだ
・・・てことは・・・!!
このウニ頭は…イザマーレが特別に提供してくれた、巨大な餌か…?
何事も前向きに捉える彼ら。蛙の脳ミソを絶好調に暴走させ、
だんだん、ニヤ~っと涎を垂らしながら、ダイヤの周りを取り囲んでいく
い………………いやあああああああああ………………
ダイヤ史上、最も最悪な状況から、慌てて逃げ帰る
コメント