Ⅸ 右のフロアー
- RICOH RICOH
- 2024年12月11日
- 読了時間: 2分
肉や魚、季節の野菜など、珍味が並べられたテーブルから
美味しそうな食材を紙皿に取り分け、シャンパンと共に
イザマーレの元に運ぶウエスターレン
「意外と、料理は美味そうだな。ほれ、イザマーレ」
「ああ、すまないな。…あれか。渦中の王とやらは」
視線は合わさずとも、気配で察知したのか
口元でほくそ笑むイザマーレ
「…男女別という割に…あの御二方だけは特別なようですね。」
イザマーレの髪飾りに化身しているリリエルが、不思議そうに呟く
「まあ…この国の作法は面倒でしかないが
俺にしてみれば…思わぬ拾い物だな♪」
イザマーレの隣に座り、サラサラな金髪を優しく撫でて
相当ご機嫌な様子のウエスターレン
「…//////」
抗う事もなく、ウエスターレンに身を委ね
静かに笑みを浮かべるイザマーレ
そこへ、慌てて駆けつけてきた王ベロー
2魔の仲睦まじい様子に、足を竦ませる
「…!…おや。そなたは…」
流し目で見つめ、声を掛けるイザマーレに、ベローは目を瞠る
「オルビガーノ…そなたの声を、初めて聞いた…」
「…そうか。お前は、吾輩の言霊に支配されることもなく…
本当に吾輩自身を愛してくれていたのだな。有難いな。」
王の言葉に、イザマーレは率直に伝える
「お前を懐かしく思い出す事はあっても、憎しみの感情など
あるわけなかろう?」
「…!……」
「…男女の営みに、ルールなんてあるものか。
まして、そこに愛があったならば、
とやかく責めることなど、誰にもできない」
「…オルビガーノ…」
イザマーレの言葉を咀嚼し、視線を泳がせたまま、固まる王
「吾輩に対し、必要以上に自分を責め立てる。
まるで…ウエスターレン。お前の様だな♪」
王に語りかけるイザマーレは、オルビガーノの意識が全て
融合し、オルビガーノが見ていた景色を見ていたかのように
自然だった
だが、ウエスターレンに向かい、おどけて見せる仕草は
現イザマーレ副大魔王、そのものであり
決してオルビガーノの支配下に屈したわけでも
一時的に意識が混濁したわけでもない
「…閣下…」
「リリエル。吾輩は大丈夫だ。
あいつが吾輩の一部で、言霊を持っていたのならば
必ずそう言うに決まっている。そう思うから、伝えたまでだ」
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