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Ⅹ 左のフロアー

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2024年12月11日
  • 読了時間: 2分

更新日:2024年12月14日


一方、左のフロア―では


上階から見えた相手に驚き、警備や受付の声にも耳を貸さず

周囲を蹴散らしながら慌ただしく中央に進んでいく王妃ターニャ


先程のバルコニーの近くに歩み寄るが、肝心な相手が見つからず

キョロキョロと探し回る


タイミングが良いのか悪いのか

ちょうどその時、右のフロアにいるイザマーレが

オルビガーノの心情を慮っていたように、彼もまた

イザマーレと王ベローのやり取りに想いを寄せていたのだ


意識を集中させた影響で、オルビガーノの夜の姿は

完全に透明なエレメンツとなって、その身体から切り離された

昼の姿の可愛い小人に変化していたのだ


すぐそばで見守っていた構成員たちの手の平を、楽しそうに歩き回り

愉快にお尻をフリフリさせていた


そこに王妃ターニャが現れた為、オルビガーノはバサラの手の平に隠れ

わざと見つからないようにしていた


面倒だったのかもしれない(笑)




そして、昼の姿の利点を活かし、

王の寝室へ忍び込み、ずっと昔置いたままにしていた手紙を

別の紙にすり替えた


これで、人間界に出来上がっていた不可思議な不自由な社会を

どうにか元に戻せる…


オルビガーノは満足そうに笑顔を見せるが



王ベローはイザマーレに諭され、オルビガーノに対する罪悪感から続けていた

変てこなシナリオ作りを止めてしまったので、結果どうなるかは、解らない。

たとえ、シナリオがどう書かれていたとしても

動かしていくのは、その世界に生きる人間、そのものだからだ。




さて。


ミクロネアの舞踏会も終わり、魔界の最高魔イザマーレ族の主の屋敷では

今日も、いつものように代わり映えのない、確かな日常が続いている


屋敷のキッチンでは、相変わらず、

リリエルの隣で丁寧に鍋を磨くオルビガーノ


そして、イザマーレがリリエルと扉を消す夜の時間は

巣に寝っ転がり、綺麗なオーラを眺めて満足そうに居眠りを始める


さらに…


イザマーレがウエスターレンとの秘密の時間を作るため

満月の夜になると百合の花の髪飾りをあしらい、

こっそりと、どこかにお出ましになる…とかいう噂だ


真相は勿論、知る由もなし……♪


(情報誌にも一切掲載される事がなく、探ろうとすれば

ウエスターレンの炎の餌食になる程の秘密らしい)


🌷森の招待状 Fin.🌷


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