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Ⅶ 妖精国ミクロネアの舞踏会

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2024年12月11日
  • 読了時間: 2分

美しい装飾の施された優雅な会場

左側に設置されたフロアの片隅で、壁にもたれ

ワイングラスを片手にため息を零すバサラ


「は~あ…まったく。嫌になるね。このバサラ様に向かって

『男性フロア限定』とか言っちゃって…

俺の美しさは性別を超越するだろ?

苦も無く、両サイド行き来自由と思ったけどねえ…」


独り言にしては、かなり大きめの声で呟き、紙コップに盛られた

ピーナッツを口に放り込むと、近づいてきた影を見遣り

ニカっと笑う


「お!オルビガーノ♪ お前もこっちのフロアになったか。

俺と仲間だ。乾杯しよう♪」


昼の姿からは想像できないほど、凛々しく、精悍な顔立ちのオルビガーノ

バサラの乗りの良さに、ぎこちなく会釈し、グラスを見せて応えると

近くのバルコニーに向かい、壁に隔てられた右側のフロアに

意識を向け、佇んでいる


「お~い。お待たせ。」


遅れて到着したラァードルとベルデ、セルダも

美味しそうな食材を取り分け、テーブル席につく


「オルビガーノは?」


無言で指し示すバサラに、ラァードルたちは視線を向ける


「こうして見ると、夜の姿のオルビガーノは、昼の姿と

全然違うね。佇んでるだけで、絵になるというか、

空気が変わるというか……」




「たしかに。閣下の一部なんだって…あの姿なら

納得できちゃうもんね」


「王が惚れるわけよね…当の本人(精霊)は

王のことより、右のフロアに行ったリリエルちゃんたちが

気になって仕方ないみたいだけど(笑)」


………………


少し前


会場の入り口では、少々混乱していた


次々に来場する客の持つ招待状を確認し、容姿を判定して

右か左のフロアに選別される


順番になり、目の前に立つ姿に、受付の者が目を丸くした

辺りは急に静かになり、小さくどよめきが起こる


ピアノカバーのような真っ黒いフードで顔半分は覆われているが

サラサラの金髪が柔らかく風に舞い、キラキラと光輝く目で

微笑みかける


こめかみには、その存在を隠す為にフードを使用したと思われる

キュートな百合の髪飾り


脚の長いSPを侍らせ、恭しく判定を待つ


「…み…右のフロアへ…お進みください…//////」


思わず見とれていた受付はハッとして、慌ててお辞儀をして促す


会場の隅で沸き起こったどよめきは、すぐに王ベローが察知することとなった

噂を聞きつけ、フロアの上階から覗き込む


「…!!…まさか…オルビガーノ…?」

目を瞠り、固まるベロー




一方、左のフロアの上階からは

噂を聞きつけた王妃ターニャが、他を蹴散らし凝視する


「…!!…あれは……っ//////」


忘れるはずがない、在りし日のままの精悍な姿





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Ⅹ 左のフロアー

一方、左のフロア―では 上階から見えた相手に驚き、警備や受付の声にも耳を貸さず 周囲を蹴散らしながら慌ただしく中央に進んでいく王妃ターニャ 先程のバルコニーの近くに歩み寄るが、肝心な相手が見つからず キョロキョロと探し回る タイミングが良いのか悪いのか...

 
 
 
Ⅸ 右のフロアー

肉や魚、季節の野菜など、珍味が並べられたテーブルから 美味しそうな食材を紙皿に取り分け、シャンパンと共に イザマーレの元に運ぶウエスターレン 「意外と、料理は美味そうだな。ほれ、イザマーレ」 「ああ、すまないな。…あれか。渦中の王とやらは」...

 
 
 
Ⅷ 魔界時計の数時間前

長く、無数に続く階段を昇って行く、一名の者 ようやく辿り着き、扉を開けると、そこは広いリビングフロア 屋敷の主が目の前のソファに座り、出迎える 「お待たせいたしました。イザマーレ様…」 恭しくお辞儀をして、挨拶を交わす好々爺 「ランソフ、待っていたぞ。こっちだ」...

 
 
 

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丸太小屋の階段を降りると辿り着く桜の木
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