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永遠の旅立ち

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2024年12月1日
  • 読了時間: 3分

すべての才や力や財は

人間には留まらぬ


人間の一生など、瞬きほどの短さだ


その頼りなき器に、お前の有り余る才能の全てを

保持させるのは、至難の業だろう…


それでも…


森羅万象の力を一身に受け

美しい順列組み合わせを

正しく制御させることが出来るのならば…


お前の純朴さ、自由を楽しむ屈託のなさ

天真爛漫なお前の心に、魔界にいる今よりもなお

多くの孤独を背負う事になるだろう…


それが、唯一無二のお前に課せられた宿業というものだ


すべてに打ち勝ち、輝かしい成果をあげてみせるのならば

その時、私は必ずやお前を見つけ出し、闇の美酒で杯を交わそう


遥かなる先の未来で、再び出会おう

愛しき、光の大悪魔よ…





ウエスターレンの意思を伝え聞いたダンケル

そして、最高魔軍の構成員は


少しずつ、時期をずらし、各々、魔界から姿を消していく


責任感の塊になるイザマーレに、足枷になることのないように…


そして、ついに旅立つ時が来た

見送りに立ち会ったのは、角の生えた悪魔、ベルデだけ…


愛くるしい表情でにこやかに笑みを浮かべるイザマーレ

隣に寄り添うAnyeが近寄り、宝箱を差し出した


「…実は…昨日、産み落としたのです…

この子は、自らの意思で、咲く時を決めるはず…

この種を…和尚に…託します。」


…………


手渡された宝箱は、ベルデが魔術を駆使しても

開ける事は敵わなかった。


やがて、幾多の歳月を超え、その存在すら忘れかけていた


それが、あの瞬間…

クローンを昇華させる為、棺に手を翳した瞬間

光を放つ宝箱


驚き、立ちすくむベルデの手の平に置かれた、ひとつの朔


…………


「…てっきり、百合の花になると思ったんだけどね…」

穏やかに笑うベルデ




時折、ソラの館に遊びに来ている花蓮光の様子を

オーラで察知しては、何食わぬ顔して、ほくそ笑む


「………え…てことは、ひょっとして

あの時、イザマーレだけじゃなく…ウエスターレン、君も…?」


「…和尚、どうかしたんですか?」


「…!…え、いや…アハハ…💦」


めずらしく、独り言ちた呟きを聞かれたことに

戸惑い、アタフタするベルデ


「…? お疲れですか?お茶淹れましたよ♪」


人間界に一時帰りする為、文化局に来ていた裕子は

不思議に思いながらも、左程気にすることもなく

ティーカップをテーブルに置く


「………そうだよなあ……君は、完璧に百合だもんねえ…」


「?」


「裕子ちゃん。今度、魔界に来たら、

過去の世界にタイムトラベルしてみる?」


「!…えっ…//////」


真相は…単純な事だ。

Anyeの髪の毛で仕立てたクローン

俺のエレメンツに染まった彼女に

イザマーレとAnyeとの間に生まれ落ちた種を混ぜたのだから…

俺様のエレメンツが加わっていても、なんら不思議じゃないだろ?

透明な目玉蝙蝠を忍ばせ、モニター越しに笑みを浮かべる

ウエスターレン…




 
 
 

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丸太小屋の階段を降りると辿り着く桜の木
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