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Ⅲ 続き…ようやく先に進みそう…

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 1月1日
  • 読了時間: 2分

扉越しに感じる紅蓮のエレメンツに、光はベッドから抜け出し

部屋の入口に向かう


「…よお♪姫はお休みか?」


「ああ…っていうか、気になるじゃないか…お前がそこに居るって

分かってるのに///」


八重歯を見せて笑う蓮に、照れくさそうな顔を隠そうともしない光

そのサラサラな髪を優しく撫でて、抱きしめる蓮


「俺のために、扉を消さずにいるお前の気持ちは有難いが

さすがに花は嫌がるだろう…俺は、お前だけを愛せれば

それでいいんだ」


久しぶりの蓮のぬくもり

嬉しそうな笑みを浮かべ、キラキラした目で見上げる光と

そっと口唇を重ねる


「///…蓮…それで、なにか進展はあったのか?」


「ああ。魔界から、依頼していた調査結果が届いた。

それと、最近、庵野サイドで妙な動きがあったから、それも

調べてみた」


「……」


手渡された報告書を吟味する光


「庵野 寛子。あいつ自身は、確かにかつて、魔界にて反逆者となり

処刑されたシグナスの亡霊に支配されている。そして、あいつの周りを

取り巻く下僕どもは皆、シグナスを持ち上げ、王位奪還を狙う

元下級貴族らが密かに通じた天界の者どもだ。」




「悪質なコピーということか。…花の直感は正しいということだな」


「…へえ…なるほどな。それでご機嫌取りね…」


「…//////」


真昼間から情事にのめり込むなど、魔界の現イザマーレや

あの魔鏡学園の副理事長ならいざ知らず、光こと前世イザマーレにしては

珍しい事だ。蓮の鋭い指摘に、いたずらがバレた子供のように

視線を泳がせ、話題を逸らす光


「それにしても…天界の魂胆は、リリエルが最終目標なんだろうが

リリエルに直接危害が向かわない限り、人間同士のイザコザは

静観するということか…」


「そうだな。そしてリリエルが理性を失うなら、

それは現イザマーレ副大魔王に危害が及ぶ時に他ならない。

今のところ、そこまでの懸念材料ではないという事だろ」




「…それより、リリエルがいつも微笑んでいられるように

楽しい話題を提供し続けてくれ…だと…?」


現イザマーレの意味深な文章を読み上げ、目配せし合う光と蓮


「……亮のことかな」


「…倉ちゃんだって良い筈だ。っていうか、あいつが傍にいるだけで

リリエルは十分、幸せなんじゃないか?」


現状に甘んじることなく極上の娯楽を提供するのは

愛する妻の笑顔を愛で続けるため


そんな副大魔王の矜持を改めて思い知らされ

寝室で眠りこける花に、想いを馳せる光


そんな光をやはり愛しく思う蓮だった




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