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Ⅳ 真相

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2024年12月11日
  • 読了時間: 2分

「…えっ」


まどろみながら、子守唄のように聞いていたイザマーレの言葉に

リリエルは思わず聞き返す


「…永眠と言えば良いのか…どちらかというと、本体である吾輩と

融合する…ということかな」


「……」


口元に手をやり、僅かに視線を泳がせるリリエル


「リリエル。お前…はじめから、気づいていただろう?」


「……っ…///」


バツが悪そうに俯きながら、堪えきれない涙が流れる

そんなリリエルを抱き寄せ、髪を撫でるイザマーレ


「吾輩がヨッツンハイムに閉じ込められたあの時…

あるいはその前後に…無意識に切り離してしまった結晶の欠片…

その可能性は、大いにある。それに…」


腕の中で涙に濡れるリリエルを見つめ、優しく微笑む


「お前に瞬時に惚れ込み、お前が、あんなにも無条件に懐く。

それだけで、謎が解けそうなもんだよな…(笑)」


「閣下…ですが、オルビガーノは…ずっと孤独で…

長官や、他の構成員たちとの出会いもないまま…//////」


「そうだ。それどころか、リリエル。お前の存在すら

見つけ出せないまま、命の旅を終えようとしている。

このまま吾輩と融合しても…なんか、嫌だな(苦笑)」




まだ泣き続けるリリエルの手をシーツに縫い付け、ゆっくりと口唇を重ねる

涙の雫を吸い上げ、肌に舌を這わせ、愛撫を深めていく…


かつて…


自らの過去、Lilyelに密かな嫉妬を抱いていたリリエル

その気持ちが、今なら分かる


たとえ、どんな環境下にいた元吾輩(の一部)だとしても

お前の事だけは、絶対に譲らない


…そういや、あいつ…

ウエスターレンにも、妙な反応を見せていたよな…(💢)




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