Ⅲ 週末
- RICOH RICOH
- 2024年12月14日
- 読了時間: 4分
プエブロドラドの任務も、情報局の仕事も一段落したダイヤ
前日に、ダンケルの元へイザマーレとリリエルが来ることを知らされ
いつもよりもウキウキと楽しみに待っていた
今日は、機嫌が良いダイヤに、ダンケルも優しく笑顔を見せている
「陛下。お待たせいたしました」
王室に姿を見せて、頭を下げるイザマーレとリリエル
「ダイヤ様の衣裳が仕上がりました。試着してもらえたらと
思いまして。」
「うむ。ご苦労だった。今回は、ヘビメタドレスは絶対にNGなんだろ?
それならリリエル。最初からお前に作らせた方が、面倒がなくて良い」
「クスクス…当り前です!!もう~…ダイヤ様、ほら、こちら。
どうかしら……?」
「ありがとうございます~。へえ…♪」
リリエルの作り出す衣裳と言えば、花冠のウェディングドレスだ
その時の記憶が鮮明に残っているダイヤは
目を輝かせて衣装を覗き込む
そこへ、魔法陣が現れ、ベルデが姿を見せた
「失礼します……ダンケル。人間界からのお客様だよ」
ベルデが連れてきたのは、前世イザマーレとAnye
そしてラディアだった
「……」
途端にムッとして、リリエルに作ってもらった衣装を手に
黙ったまま更衣室へ向かうダイヤ
「…Anyeちゃん♪いらっしゃい(^^♪」
ダイヤの素振りなど、さして気にも留めず
Anyeたちを笑顔で出迎えるリリエル
リリエルが来ると、使用魔たちはようやく従来どおりに動けるようになる
手厳しく指摘したり命令するようなことも無く、魔宮殿側の悪魔を
引き立てながら、さりげなくフォローしてくれるので、ダイヤの一喜一憂に
振り回されても不平不満を言い出すこともなく、律儀に勤めている者が
殆どだ
「リリエル様…ラディアの衣裳の草案を作ってみたのですが…
どうしても、一度、ご意見を窺いたくて…💦」
恥じらいながら、デッサンを見せるAnye
「え!さすが、Anyeちゃん…仕事が早いなあ(´∀`*)ウフフ
どれどれ?見せて見せて♪」
「Anyeったら!!リリエル様にちゃんと聞いてと言ったけど…💦
そういう意味じゃないから💢ちゃんと着るわよ💢💢」
Anyeとリリエルのやり取りを聞いて、恥ずかしくて試着なんて無理だと
突っぱねてる場合じゃないと察したラディアは、勢いで着用することを
承諾する
「良かったな、Anye」
ソファで見守っていた前世イザマーレが抱き寄せて、髪を撫でる
「ところで…肝心のAnyeちゃんは?どんな衣裳にするのか決めた?」
のんびりとお茶を飲みながら、ベルデが尋ねる
「あ…リリエル様は?どうなさるの…?」
お茶のお代わりを運んでいたリリエルは、Anyeに聞かれて微笑む
「私は、いつもの事務用スーツですよ♪閣下が謡の儀式をなさるので
僭越ながら、サポートに回らせてもらいます」
「え…そうなんですか??…じゃあ…私も…」
「スーツなのか?それも有りだが…久しぶりに、お前のドレス姿も
見てみたいな♪」
「え…//////」
すかさずフォローする前世イザマーレに真っ赤になるAnyeを見遣りながら
ラディアは別の事を考えていた
Anyeはともかくとして…
今、この場で最も公式の場に相応しく、美しいドレスに身を包むべきなのは
どう考えてもリリエルだ
だが、その彼女は、地味なスーツで裏方に回ると言い
それも、さも当然のように、むしろ喜んでいるように見える
前世イザマーレの押しに負けるかもしれないが、
Anyeもリリエルに倣い、一歩、身を引くだろう
もしかしたら、人間界のショッピングモールに
流行りのスーツを探しに行こうなどと、言い出すかもしれない
そしたら自分も一緒に、連れて行ってもらいたいかも…
なんか、楽しそうだし(笑)
人間界に降りたら、またBARで殿上人と会えるかもしれないし…
イザマーレやリリエルたちと過ごす時間が増えていくと
自分の中にあった負の感情が減って行き
どんな状況でも楽しみを見出そうとする彼らに引きずられて
ラディアはほんの少し、気持ちも明るくなったような気がする
それに比べ…
リリエルに作ってもらった美しいドレスを身に纏いながら、
ツンツンウニ頭で、なにが不満なのか、いつまでも塞ぎ込んだままのダイヤ
あんな奴が大魔王の后って…正直、どうなの?
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