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Ⅰ 魔宮殿

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 2024年12月14日
  • 読了時間: 4分

魔宮殿―


プエブロドラドの任務を終え、ご機嫌に王室へ戻り

元気よく扉を開けるダイヤ


「陛下~♪ただいま戻りました~♪♪…」


そのままの勢いで、元気よく挨拶してから

ようやく部屋の中を確認する


「おかえり、ダイヤ」


サロンの椅子に優雅に腰かけ、紅茶の香りを楽しむダンケルが

にこやかに声をかけてくる


そこに居たイザマーレとリリエルが振り返り、

「ダイヤ様、お帰りなさいませ♪」

と、いつものように微笑みかけてくる


「リリエル様♪…どうなさった…」


気さくに問いかけながら、近づいて固まるダイヤ


サロンテーブルの上に並べられたカタログを見て

相談し合うダンケル付きの衣裳魔と、やや気まずそうに見ているラディア


「秋に行うサミットは、例年よりも盛大なものを予定しておる。

Anyeや前世イザマーレたちも招き、豪華に行いたいと思うのでな」


よく見ると、ダンケルのすぐ隣の席で、

人間界から一時帰りしている前世イザマーレとAnyeが

座って談笑している


「あなたは…リリエル様から噂に聞いていた、オルビガーノちゃん?

可愛いわ(≧∇≦)」




リリエルの前世、Anyeに微笑みかけられ、ますますご満悦で

お尻をフリフリさせているオルビガーノ


「…あいつの衣裳なら、お前が出してやれば良いんじゃないか?Anye」


「え…あ、もちろん、構いませんが…」

前世イザマーレ(光)に促され、Anyeは応えながらも

ラディアの顔色を窺い、口元に手をやる


「…な、なによ。別に、Anyeに頼んでも良いわよ。

時代遅れなものにならないように、きちんとリリエル様にアドバイスを

貰ってちょうだいね」


「…!…う、うん…//////」


照れ隠しにわざと悪態をつくラディアに、遠慮がちながら

嬉しそうに笑顔を見せるAnye


「…じゃ、ラディア様の衣裳は、Anyeちゃんにお任せするとして

あとは…大丈夫かしら…?」


「そうだな。ご苦労だった。当日まで、首尾よく頼むぞ。

さ、面倒な打ち合わせはこのくらいにして、お茶を楽しもうではないか♪」


ダンケルの言葉に、使用魔たちが首尾よく準備を整えていく



「………………」


ここまで、ダイヤは何も言えず、ただ彼らの会話を聞いているだけだった

そしてまた、自分の中で結論づけた


秋のサミットに、ラディアも参加させるんだ

…っていうか、私は?ダイヤは必要ないの…?


リリエルの言った言葉にも、ショックを受けていた




ダイヤが帰って来る前に、彼女用の衣裳について

衣裳魔とリリエルは詳細な打ち合わせを済ませていたのだ


だがそこに思い至らないのがダイヤだ


心の中でブツクサと文句を言いながら、自分の部屋へ戻って行く


ダイヤの事を、誰も見向きもしない

ダンケルすら、追いかけても来ない


ベッドにダイビングして、イライラを鎮めようとしていた


ふっと、視線を感じる方を見遣り、驚いて立ち上がる

「…へっ?」


ダイヤのすぐ真横。

至近距離でぽえ~っと見上げるオルビガーノ(ザ・昼の姿)


「な…なに…?えっと…」


声に出して言葉にしなかったから、で済む次元ではない最高級精霊。

ほんの少し、リリエルに向けた負の感情を正確に感じ取っており

その怒りは、おそらくリリエルにしか鎮められない


秘密の森で摘み取った、にが~い汁の出る薬草を

一枚ずつ、ベッドに並べていくオルビガーノ


「!…ひ、ひえぇぇぇ…ご、ごめんなさい…っ…勘弁して~💦」

薬草の汁が零れないよう、慎重に取り除きながら

慌てふためき、パニックになる寸前、


「ダイヤ様?どうかなさったの?」


部屋に訪れたリリエルにハッとして、慌てて着替えをすませるダイヤ


「!…り、リリエル様…っ ご、ごめんなさい。

勝手に拗ねたりして、きちんとお出迎えもせずに…💦」




「?」

「お前の気持ちは分かるが…ほどほどにしておけ(笑)」


キョトンと首を傾げるリリエルの脚元で、

ご機嫌に腰を揺らすオルビガーノを指でつまみあげて

ニヤつくイザマーレ


「ダイヤ様…陛下がお待ちよ。

サミットの衣裳のことで、衣裳魔からお話があるって。」


「え、あ…!分かりました。すぐ向かいます!!」




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