Ⅰ
- RICOH RICOH
- 1月2日
- 読了時間: 4分
ジリジリジリジリジリ…
「崇生《たかお》!!その目覚まし、何度目?いい加減、起きなってば」
「!!…やっべ~、遅刻する💦 かあちゃん、朝飯ごめん
行ってきまーす!!」
「はいはい、気をつけてね…結愛《ゆうあ》、貴女はいいの?」
「うん。ってか、崇生だって、遅刻ってのは大袈裟よ。
友達との待ち合わせに遅れるだけでしょ」
「ああ…たしか今日は、いつもの悪ガキたちと一緒に
秘密基地で何かやるんだって、息巻いてたな(笑)」
母娘の会話を何となく聞いていた父親の反応に
結愛は目を細める
「クスクス…私はあの子たち、大好きよ。
朝起きてから、夜寝るまで、本当に慌ただしいけどね」
そう言いながら食器を重ねて、キッチンに運ぶ結愛
「ごちそうさま。美味しかった♪」
「お粗末さまでした…さ、貴女もそろそろ行かないとでしょ?」
「…うん…」
「…結愛?」
「あ、ううん。じゃ、行ってくるね。お父さん、行ってきまーす」
「おう。気をつけるんだぞ」
コーヒーを飲みながら、片手を挙げて応える父親を見届けて
結愛は玄関を出て行く
「…あっ いけない…」
忘れ物に気が付いて、すぐに家に引き返す結愛
………………
…………
…
「…絵里奈《えりな》、いつもご苦労さん。お前も一息ついたらどうだ?」
「うん…そうね。…ふぅ~…よっこらせっくす♪」
食卓のテーブル椅子に座り、大きく息を吐く絵里奈に
聖《ひじり》は呆れ顔で遣り過ごす
「…お掃除はしてくれたのね。ありがとう。助かります」
「どういたしまして。あ、洗濯も終わってるよな。干してくる」
返事を待たずに立ち上がり、ランドリーに向かう聖《ひじり》
遅めの朝食をとりながら、ニコニコと嬉しそうに微笑む絵里奈
コーヒーを飲みながら、スマホを眺めていると
いつの間にか背後に居た聖が、わざと胸元を覗き込んでくる
「…あっ…ちょっと…」
「~♪」
素知らぬフリでベランダに向かう聖
「…み~た~な~…?」
「…何の事かな~?見るならもっと、こうやって堂々と見るし♪」
「あっ ちょっと…////」
悪びれる様子もなく、服をペラっとめくり
躊躇なく触れてくる聖に、絵里奈は真っ赤になって戸惑う
「…朝っぱらから、おっさんみたいなことを言う誰かさんには
お仕置きが必要だよな♪」
「…ん……っ…//////」
聖の指先が敏感な箇所を弾き、思わず声が漏れる絵里奈
「…も…もう…////」
言葉で僅かな抵抗を示しながら、身体は完全に力が抜けている
絵里奈に、聖は微笑みながら愛撫を深めていく…
…
………………
…………………………………
…
………………
…………………………………
(////…ったく…相変わらずなんだから…////)
忘れ物を取りに帰った途端、遭遇してしまった両親の情事
だが、この家ではごく普通の、日常茶飯事
多少、焦りながら、そ~っと音をたてないように
その場を立ち去る結愛
一方、寝坊したせいで、朝ごはんを食べそこなったまま
駆け出して行った弟、崇生《たかお》は…
「崇生!遅いぞ!!」
「わりぃわりぃ…でも、ギリ間に合ったはずだぞ
姉ちゃんに起こされなかったら、やばかったな(笑)」
「馬鹿やろ、やっぱ、寝坊かよ(笑)」
大きな声で言い合いながら、山道を登っていく
…………
…
山頂にある公園から、中程にある校舎を覗き見出来る事を
偶然発見したのは数日前
同じ女でも、小学生と高校生では発育度合いが段違いだ
あと数年我慢すれば、嫌でも見学に行かされる筈だが
「立派な高校見学だよな~♪」
本来の意味とは、かけ離れているが
そんな大義名分を振りかざし、単なるエロ根性丸出しな
少年よ、大志を抱け(苦笑)
そんな悪ガキどもに憧憬を抱かせてるとは露知らず
登校してくる女子生徒の中に、姉の姿を見つける崇生
「……」
心なしか、元気がない気がする姉の表情に
崇生は不思議に思う
(姉ちゃん、具合でも悪いのかな
ウチでは、そんなことなかったけどなあ…)
だが、そんな一瞬の憂いを打ち消すように
悪ガキどもが感嘆のため息を漏らす
「…は~ぁ…やっぱ…いいよな…最高♪」
「お前、いいよな。あんな姉ちゃんいて…」
「…そう?」
どうやら結愛は、女としてのスペックが結構高いらしいのだ
弟なので、姉をそういう対象で見る事がない崇生には
奴らの言う事がいまいちピンとこない
「…おっと、やべぇ。そろそろ行くぞ!」
気が付けば、ホントに遅刻すれすれだ
崇生の掛け声を皮切りに、一気に山を駆け下りていく…

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