Ⅵ さくらの水平線
- RICOH RICOH
- 19 時間前
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乱反射する光を受けて、さざ波のように沸き起こる拍手
水面に浮かぶ観客たちの歓喜の声に
歌い終えた白百合は桃のような薄ピンク色に頬を染め
恭しくお辞儀をする
傍らには、見守っていた王子が、近くにいた者たちから
喝采され、賞賛の渦にいる
傍らには、ひっそりとお忍びで訪れた
可憐な花と美しき王子が、観客に紛れ、穏やかに微笑んでいる
勿忘草、桔梗……
光の影となる一帯は、主役の座を奪われ、脱落していった者たちの
羨望、嫉妬、挫折感…様々な思惑さえも
光の賞賛を受けた音価の前に為す術なく、ただ静まり返るだけだ
…………
……………?
よく見ると、歌い上げていた歌姫の白百合から
数メートル離れた場所に、彼女によく似た花の姿があった
なぜ最初に気づかなかったのか
それは、歌姫と同じく可憐に色づいたはずの花弁も
蕾となり得る房さえもなく、首から先がごっそりと
抜け落ちているからだ
(…………処刑されたのか……?)
聖域だったはずのこの場所に、カラスが慌ただしく飛来し
足を踏み入れた者を容赦なく選定している
かと思えば、また慌ただしく飛び去っていくカラスたち
(おいおい……ちったぁ、マトモに働けよ
尻込みしてどうする💢💢)
俺は苛立ちを堪え、先程の美しい光の王子と可憐な花の姫君の元へ
急ぎ羽ばたいていく
「あれ?リリエル……ようやく見つけた!
やっぱりイザマーレ閣下とお忍びで来てたのね」
中腰になり、マジマジと覗き込み、語りかける
そこへ、ぶう~~ん……
勢い良く羽音を震わせながら猛スピードで突進してきたクマンパチ
「うわっ……て、ちょっと!もう~~~」
驚いて振り払いながら、光の王子の背後をきっちりと
護衛するクマンバチにため息をつく
「勘弁してよ、もう…」
「え?…あ、なんだ、お前かよ」
ようやく気がついたクマンバチは力を抜いた
「本当に…長官ったら。こうやって守りに来るなら、
最初から傍にいれば良いでしょ」
「…アイツらの邪魔をするのは気が引けるからなあ」
「またそんな事言って…でも、どうしたんですか?
なんか、様子が変ですよ?今朝聞いたニュースも
気になって…」
「ああ、成程。それでね。」
クマンバチは退屈そうに羽を翻すと
光の粒子となり、真の姿を朧げに映し出す
眼光するどい眼差しで、紫煙を燻らせながら語り出す
「首のない花を見たか?」
「あ、はい…先程……」
「あれは、別の誰かに盗まれたり、処刑されたわけでもない
最初から花弁がつかなかったのだ」
「!」
百合の女王に、自分の存在価値を1ミリも請われなかった
存在に気づけ、そして羨ましがれと咆哮する内
オーラだけは女王のそれに近づいた
だが、所詮はそこまで
女王の憧れの対象となり得ない存在は
姿かたちを有することすら許されない
「だが花の権化、百合の姫君をつけ狙うゴミ共を誘き寄せ
始末するにはもってこいだ。ココ最近、増えてるな」
光の王子が愛する花の姫君に危害が及ぶならば
虫が総出で処罰に動く
それはまあ…当然の成り行きだ
「そうでしたか…いや、私はまた
あの首なし花こそ、女神ユナに断罪され、引き離された
天の輪、その生まれ変わりかと……」
「さあ…どうなんだろうな?お前なら分かるか?
キーユ」
ウエスターレンが呼びかけると、先程の場所で羽音を潜め
待機していたクマンバチが近寄ってきた
「……ウエスターレン長官。お呼びでしょうか」
恭しく身構えるが、どこか気もそぞろ
「ああ、すまん。悪かったな
アイツらは間もなく到着するのかな?」
「…はい。アイツらには何の気兼ねもなく
自由な人生を謳歌させてやりたい
その為には近寄る害悪は全て
事前に駆逐するべきと判断したまで…」
なるほど……
先程気になっていた、もうひと組の花と光の組み合わせは
稀依と匡輝の事だったか
もう一つ、気になるんですけど……
「皇女様とリリエル、今回は別々なんですね?」
「百花の晴れ舞台だからな。
花が誠心誠意、サポートしたいと……」
なるほどー!!
それで、最高貴族出身の花(Anye)の傍には
決して出しゃばらない几帳面王子の光(前世イザマーレ)
リリエルのそばには、相変わらず
忍んでる割にとても目立っている
光の王子、イザマーレ閣下がいるわけか!!
🌷 浮かんでは消える Fin.🌷
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