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スタジオKurahashi

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 3月25日
  • 読了時間: 2分

 

スタジオで倉橋の帰宅を待ちながら、譜読みを続ける百花

 

「…ふぅ…」

 

時折、ぼんやりと考えながら、辿り着かない答えに執着せず

譜面の世界に戻って行く

 

「…!…っ きゃああ////」

 

ふと、すぐそばに気配を感じ、驚いて悲鳴を上げた

 

いつの間にか、辺りはすっかり日が暮れていた

薄闇の中、百花のすぐ横に腰かけ、自分を見つめている存在に

慌てふためく

 

「…どうした?」

 

思いがけない彼女の反応に、倉橋は不思議そうに首を傾げる

こんな風に、物凄い集中力で周囲の視線を遮断する百花は

いつものことで、どうにか意識が戻った時も、どこかぼんやりとしている事が

多いのに、今日はいつもと違った

 

「…ご、ごめんなさい…すぐ、お茶を淹れますね💦」

 

自覚のない百花は、倉橋の前で詫びるように手を合わせ

すぐに立ち上がる

 

「…百花…?なにかあったのか?」

 

倉橋も彼女の後について、キッチンに向かう

 

「…な、何もないんです。ただ…もうすぐ本番だから

少し緊張してるのかも…?」

 

 

…正直に白状しない弟子だ。

 

問答無用に彼女の腰を抱き寄せ、髪をぽんぽんと撫でると

ピアノの前に戻る

 

弟子の緊張をほぐすには、一にも二にも、レッスンあるのみ…

まあ良い。お前の歌で、すべて白状させるからな…

 

………………

 

(…なるほどね…)

 

歌い上げる百花の音色を嗅ぎ分けながら、浮かび上がる

絵物語に、そっとため息をつく

 

浮かび上がった情景とは………………





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