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暗闇の世界

  • 執筆者の写真: RICOH RICOH
    RICOH RICOH
  • 3月25日
  • 読了時間: 2分

 

今日もてくてくと、元気に歩き回る魔人形

りーちゃまに道筋を教わって以来、何度も人間界に

遊びに出かけるようになった、杏子と一檎

ARCADIAに辿り着く前の闇の道で

かりんちゃんにいつも会えるんだ。

 

見回りに来るウエスターレンの言い付けはきちんと守り

ARCADIAの中だけだが、縦横無尽に入り込む2人

 

中でもお気に入りは12階のお部屋。

ももちゃんは綺麗な歌声で、いつもジュースをくれるし

大好きなんだ♪

 

そしたらいつの間にか、もう1人

一緒にいる子が増えたんだよ

 

Aっていうの。変てこな名前(笑)

いっちゃんたちについて来るくせに

ももちゃんのジュース、のまないんだよ

変だよね。ももちゃんのジュース、とっても美味しいのに

 

あんずちゃんは、ジュースを飲まないと

もう一度、こっちに遊びにこれなくなるんだって

 

あいつはいいのかなあ…

 

「嫌だったら、無理しないで良いよ。そしたら代わりに

お水でもいいかな?」

 

でもね

 

何度か一緒に来る度に、ジュースを飲んでるいっちゃんたちの事

すごく羨ましそうに見てるんだよ

 

本当はあいつ、飲みたいんじゃないのかなあ…

 

ほら、ももちゃんったら優しいから

今度は欲しくないとか言うなよな

 

ミネラルウォーターを注いでもらったガラスのコップを

神妙な顔で受け取ると、思い切ってゴクゴクと飲み干すA

 

「…」

 

その目はかっと見開いて、そうかと思うと今度は

みるみる涙が溢れ出してきた

 

「あの…!やっぱりその…皆と同じジュースも…

貰えませんか?」

 

百花は驚きつつ、喜んでジュースを注ぐ

 

ゴクリと生唾を飲み込むと、またしても一気に飲み干すA

 

「…おいしい…」

 

「…そう?良かった(´∀`*)ウフフ」

 

穏やかに笑みを浮かべる百花

杏子も一檎もニコニコしていた

 

花梨も、Aの様子をチラチラと見ながら

ほっとしたような表情を浮かべていた

 

そのうちに、いつものお兄さんが現れて

ちびっ子たちは回収されていった

 



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丸太小屋の階段を降りると辿り着く桜の木
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